アジアのヒーローになるのは誰だ?!
(この原稿は2017年8月頃にフリーペーパーdacoウェブサイトに掲載された「タイでプロレス興行を目指す男の記録」 第29回 の再掲載です)
7月22日23日香港で香港プロレスの興行2連戦があり、
昨年に引き続き行ってきました。
2回目の香港プロレス観戦、知っている選手もいるので今回は楽しく観戦出来ました。
相変わらずヤジが多く、熱い香港のプロレスファンの声援は独特の雰囲気でした。
最近は日本に出張している時も時間さえ合えばいろんなプロレス団体の興行を見に行くようにしている私ですが、各団体にそれぞれの空気があることを知りました。
それと同じでアジア各国のプロレスにもそれぞれの空気があります。そして、どんな空気であっても関係なく大きな声援を受けることが出来るのが真のスター選手なのだと分かりました。
どんな選手が空気を超越したスターになれるのかを考えました。
まず1つはプロレスの技術です。これは間違いありません。
プロレスが上手な選手はベビーフェイスでもヒールでも関係なく支持されます。
これ、プロレスファンが難しいことを言っているのではありません。プロレスを初めて見る人でもこれは分かってしまうと思いますし、素人にも分かるほど上手な人こそがスターになれるのだと思います。
そしてもう1つは圧倒的なキャラクターです。
これもプロレスの玄人ファンじゃなくても分かると思います。
見た目が面白い、動きが面白い。
しかしこれは意外に難しいことなんです。
私は落語に似ていると思っています。
同じ台本で話すのでも、噺家さんによって爆笑になったり、失笑になったりすることがあると思います。技術もさることながら、才能や見た目や表情も大きな要素になってくるのではないでしょうか。
サワディカップでMVPに当たる「サワディカップ」を授与されるのは、↑のどちらかのタイプで大きな声援を獲得した人に与えられるものだと思います。
今、私の中で有力候補だと思っている選手が1人います。もちろん私はサワディカップを選定する人ではないので、単なるファンの予想です。
その人はシンガポールのアンドリューテン選手です。
もはやアジアのプロレスを見ている人で彼を知らない人はいません。アジアのどこに行っても彼がリングに上がると大きな声援が巻き上がります。
彼が登場時にアピールするポーズとシャウト。これがアジアのプロレス流行語大賞状態になっているのです、マジで。
私も初めて見た時は「なんかムカつく!」だったんですが、むしろアンドリュー選手の狙いはそこなのです。
なんかムカつく選手、を彼は目指していたのです。むしろ今はそれが愛おしくも感じてしまうキャラになってしまいました。そしてそれは私だけじゃなくアジアのプロレスファンみんながそうなってしまったのです(笑)
本人曰くそのシャウトを活字にすると、
「Eeeeeeeyakkkkkkk」
なのだそうです。
簡単に言うと、古くはアントニオ猪木さんの「1,2,3,ダァー!」とか、中邑真輔選手の「イヤォ」みたいな決め台詞です。
彼のキャラクター(超ムキムキの筋肉質でありながら身長が低い!)とあのシャウトが見事なくらい合っているのです。
2
日間の試合後に私は彼に言いました。
「もっとグッズ作ったらいいよ、目覚まし時計とか作ったらオレ絶対買うよ!」
プロレスの強さや巧さで言えば彼は1番じゃないかも知れません(でも決して低レベルではないですよ)しかしヒールレスラーでありながら、こんなにも愛されるキャラになったのは彼の努力と才能に他ならないと思います。
もしも会場のお客さん満場一致で彼がサワディカップをゲットしたら、サワディカップは大成功なんだろうな、と彼への期待を込めて思っているところです。
もちろん、彼をも上回るすごいヒーローが現れることにも期待しています。
皆さん!
こんなにも面白いイベントをタダで見る機会は他にありません。
8月29日は是非ゲートウェイエカマイにお越し下さい!