リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

大会の本当の意義を香港で知る2  アジアのプロレスに感極まる

(この原稿は2016年8月頃にフリーペーパーdacoウェブサイトに掲載された「タイでプロレス興行を目指す男の記録 第17回 の再掲載です)

 

スポットライトが点灯

リングアナウンサーの後ろに香港プロレスの全選手が整列していました。

冒頭で広東語と英語でリングアナから外国人選手が出場出来なくなったことについてのお詫びがありました。

その直後、

観客席からヤジのような大声が飛び交います。

広東語が分からないのでヤジだと思っていたのですが、そうではありませんでした。声援だったのです。

 

香港在住と思われる欧米人のファンが英語で叫んでいるのを聞いてそれが分かりました。

「全然問題ない!俺たちにはジェイソンリーがいるから!」

そう言っていました。

ファンが口々に同じようなことを叫んでいたのでした。

そしてその後、全員で香港プロレスの大合唱

「香港プロレス!香港プロレス!」

 

まだ試合もはじまっていないのに、私の心は熱くなり、なんだか泣きそうになりました。

 

会場に来ているファンはプロレスを愛するファンでもあるが、香港プロレスのファンなのです。

タイのガトームーブよりも少し前に設立された香港プロレス。

ガトームーブのファンがちゃんといるのと同じく、香港プロレスも香港人の根強いファンがいるのです。

彼らがちゃんと育んできたものがあるのだと一瞬で感じることが出来ました。

 

その後の試合も興味深く観戦することが出来ました。

むしろ純粋な香港プロレスの興行を見ることが出来て良かったと思います。

たくさんの外国人選手が出場していたら、この事に気づくことが出来なかったかも知れません。

 

全試合終了後、

観戦していた外国人レスラーたちも参加する打上げがあり、プロモーターのホーホールン選手とジェイソンリー選手が関係者ではない私も誘ってくれました。

地下鉄で数駅の場所にあるローカルな中華料理店での打上げ。

アジアの選手たちが集まっての宴会は本当に楽しいひとときでした。

ありきたりな言葉でしか表現出来ないのですが、

「みんなホントにいいヤツ」

この一言でした。

 

今まで日本人以外では、タイ人のレスラーとしか関わったことがなかったのですが、香港のレスラーもシンガポールのレスラーも純粋にプロレスを愛し、いいレスラーになろうと努力しています。

 

残念ながら、アジアの選手たちはプロレスを職業とするような収入はなく、みんなが本業を持っています。

 

だけど一途にプロレスを愛し、その国で、その場所で自分なりのプロレスを伝えようとしています。

なんと愛おしいことなのでしょうか。

 

打上げの様子を俯瞰で見ていたら感極まって泣きそうになってしまいました。

 

私たちの大会はアジアをテーマにした大会

1番が誰かを決める大会ではない

 

自分で言い出したこの言葉、うわべだけのキレイごとだったなと感じると同時に、この言葉の本当の意味を知る機会になりました。

 

彼らはそれぞれの国でそれぞれのファンがいて、ヒーローを目指しています。

だけど辛いこともあるに違いありません。

心が折れそうになることもあるでしょう。

そんな時、近隣のアジアの国にも同じ悩みを抱え、同じように頑張っている仲間たちがいる。

私たちの大会はアジアのレスラーが戦うことを通じてお互いを励ましあう大会でもあるのだと。

むしろ今はそれが1番重要なことじゃないのかと。

 

香港に来て本当に良かったと感じました。

 

香港から戻ると同時に当時は現役復帰直前(現在は復帰されています)のディック東郷さんがバンコクにいらっしゃり、タイの選手に練習をつけているという情報を聞きました。

 

私は自分から積極的に日本のプロレスラーの方に会いに行くということはしない方針ですが、アジアや世界を股にかけて選手の育成などをされているディック東郷さんの場合は別です。

一度はお会いしなければいけない、そしてお会いしたい方でしたので、練習後の食事会を私がご馳走する、という理由をつけてお会いすることにしました。

 

その食事会で、またもや意外な展開が、、、、

 

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2018年現在はドラゴンゲート所属のジェイソンリー この時は香港のエース

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ホーホールンと初めて会った私