リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

素人とプロの大きな壁

(この原稿は2016年6月頃にフリーペーパーdacoのウェブサイトに掲載された

「タイでプロレス興行を目指す男の記録 第13回 の再掲載です)

 

「なんか全然よく分からないので協力は出来ないですね」

電話口で聞いた新崎人生さんの突き放すような想定外の言葉に凍りついたのでした。

 

「サワディカップ」をどんな大会にしようか?

素人3人衆の実行委員会は話し合いました。

そして出た答えは「1dayトーナメント」

 

シングルにするかタッグにするかは別として、1日で8人または8チームによるトーナメントをやろう、となりました。

今思えば、いかにも素人のプロレスファンが考えそうな企画です。

 

ジャパンエキスポのマッチメイク会議に参加させていただいた時、

新崎人生さんとさくらえみさんの話し合いで、私は素人とプロの大きな壁を感じました。

過去の連載でも少し触れましたが、場所や環境や目的によってプロレス興行の色付けはいつも違うものになります。

当初、私たちが考えたトーナメントの大会はまさにその間違いを起こしていたのでした。

 

プロレス団体でもない、金持ちのプロモーターでもない、

もちろんレスラーのタニマチでもない私たちは一体なんなのか?

誰がやっている何の大会なのかよく分からない。

自分たちのアイデンティティの確保とスポンサーを得る為のインパクト。

私たちが欲しかったのはそれだけでした。

 

そしてこの企画をジャパンエキスポの時に最もご協力いただいたプロレス関係の方々に投げかけてみました。

大会を開催することには皆さん賛成していただいたのですが、

トーナメントという大会の中身についてはどなたからも良い反応はいただけませんでした。

 

1日に何試合もしなければならないこと、

プロレスらしさがより鮮明になるタッグマッチのトーナメントで進めようと考えていた安易な私たちに、

みちのくプロレスさんからまさかの協力は難しいという拒否反応がありました。

 

通常、プロレスでトーナメントやリーグ戦を行う場合、

必ずどこかのプロレス団体が主催となります。

ですが私たちはどこの団体にも所属していません。

にも関わらず、複数のプロレス団体の選手が参加し、

プロレスの中でも勝ち負けをはっきりさせるイメージのトーナメントを開催。

日本国内では絶対にあり得ないことだということでした。

 

でも私たちは海外だし、

アジアの選手を中心に出てもらうからいいんじゃないかな?

という適当さを許してくれない人がいました。

新崎人生さんです。

 

日本出張中に電話で話したのですが、

「大会そのものを実施することは反対しません、でもこの中身がちょっと全然分からないので、今回はちょっと個人としてもみちのくプロレスとしても協力は難しいです」

私にとっては初めて突き放されたような言葉が心に刺さりました。

 

「地雷踏んじゃったみたいです」

 

と、実行委員のグループLINEで報告。

どうしたらいいんだろう?

どこが地雷だったんだろう?

ここに素人とプロの大きな壁を感じました。

 

9月の大会は中止すべきなのか?

着地点が分からない私は、みちのくプロレスの現場監督をされている宇田川部長とガトームーブのさくらえみさんに正直に

「どうしたらいいのか、どこがポイントなのかが分かりません」

と告白し、相談することにしたのでした。

 

あまりにも分かりやすい「答え」に私たちは反論どころか納得するしかありませんでした。

 

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 (会場探しをしていたら偶然ムエタイの大会を見かけました、そしてココが第1回サワディカップの会場になります)