リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

スラムの子ども達との交流

クロントイのスラムの子どもたち

 

私はタイに18年住んでいますが、

公私ともに絡んだことが一度もありませんでした。

クロントイ地区は私の自宅からさほど遠くなく、

バイクタクシーに乗れば10分以内のエリアにあります。

それでも一度も訪問したことがなく、、、

 

在タイ日本人の方も多くがそうではないでしょうか?

ボランティア活動でもしていない限り、あまり行くことはないはずです。

一時期は日本からの番組ロケコーディネートを中心に仕事としていた私でさえもそうなのですから、、、

 

私もこの当時で2歳ちょっとの息子がいますが、

もし自分の息子をココに放り込んだたら1分くらいで泣かされるだろうな、と思いました(苦笑)

なかなかワイルドな子どもたちです。

スラムを初めて歩いた時、

子どもたちはコンクリートのスペースでサッカーをしていたのですが、全員裸足でした。

裸足でサッカーはちょっと驚きました。

子どもたちの遊び方も私から見れば危ない遊びが多く、

見ていたら思わずストップさせたくなるようなシーンもありました。

 

ただ、少し思い返してみれば自分が子どもの頃もこんな感じだったかも、とも。

f:id:RINARE:20181223001508j:plain

リング設営をしていると野良犬が必ずやってくる

 

7月の無料興行では、私もレスラーたちも子どもたちに一歩踏み込んでみようという気持ちがありました。

これは申し合わせた訳ではなく、自然にそうなっていました。

 

7月の第2回クロントイスラムプロレスは、メディアこそ来なかったですが、

サワディカップ実行委員会の小野さんとその友人で飲食関係の仕事をしているSさんが、

無料でソフトクリームを配布する、というありがたい要素も加わりました。

f:id:RINARE:20181223001422j:plain

こんな感じです。映像は↓


 

https://youtu.be/156guJnZjyQ

 

さらに、このブログで時々登場している、当地の有名人で、

テレビ番組「Sugoi! JapanMCの友人、佐野ヒロ君も見に来てくれました。

 

試合の内容も前回よりも子どもたちに寄り添うような内容にして、

ガトームーブのトップ選手の1人であるP-Nutz選手が若手選手に負ける、

という特別サービスまでしてみました。

 

https://youtu.be/ihvXTw5D6zY

 

(この動画のシーンの後、彼は敗北しました)

 

ただ、それでもまだ子どもたち的には100%満足はしてもらえなかったようで、

演出や構成に今後の課題を残しました。

 

次はこんな工夫をしようか、などとみんなで話したりしながら別れたのですが、、、

まさか、その後大事件が起こるとは誰も想定していませんでした。

この話はまた次以降の投稿で詳しく書きます。

 

2回のスラムプロレス直後、

このスラムプロレスに協賛してくれるかも、

という話が舞い込んで来ました。

 

自分的にはスポンサーを探すタイミングはもう少し実績を積んでからと思っていたのですが、

その会社が会社だけにとてもスルーなどは出来ませんでした。

日本人なら知らない人などはいない、

TVコマーシャルなどでも昔からお馴染みの、

日本の一流企業のタイ事務所からの話だったのです。。。 

 

出来れば、善玉レスラーと小さい方のレスラーを勝たせて下さい

生まれて初めてプロレスを見る子どもたちの様子を見る。

1回スラムプロレスのテーマはこれでしたが、

イベント終了後、財団のスタッフに言われた言葉。

それがこのタイトルです。

 

私自身、この日の興行の半分くらいはリング上を見ていましたが、

半分は子どもたちを観察していました。

純粋な気持ちでプロレスを見る子どもたち。

 

自分が初めてプロレスをテレビで見た時のことを思い出していました。

正義が勝たないと本当に寂しい気持ちになりました。

 

昨今の日本やアメリカのプロレスではヒール(悪玉)の人気者が多かったり、

ヒールがベビーフェイス(善玉)に勝つことも多いですね。

私たち一般プロレスファンもそれに慣れているし、

ヒール選手をカッコいいと思ってしまうのはちょっとしたマニアな感覚なのかも知れませんね。

 

財団の人曰く、スラムの子どもたちに常日頃から指導しているのは、

悪い人はいずれ負けるから良いことをしよう

ということだそうです。

(タイの場合、道徳的というより仏教的です)

 

そういう意味で悪玉は勝ってはいけないのです(苦笑)

 

だけど、困ったことにタイのガトームーブの選手は当時のチャンピオンも、

主な有名選手はヒールなのです。

 

それだけならまだしも、ベビーフェイスの選手でも大きな選手が体の小さい若手の選手と試合をしていると、ベビーフェイスの選手も悪玉扱いにされてしまうのです。

そりゃあ初めて見るのだから、誰が善玉で誰が悪玉というのも、

子どもたち自身が勝手に決めていいのです。

 

こちらは善玉悪玉の違いを極端にはっきりさせないと、

初見の子どもたちには分からないわけです。

 

この日、私だけでなく、ガトームーブの選手やスタッフ全員が思い知らされました。

 

それはプロレスの原点。

 

はじめてプロレスを見た日のこと

 

ハイレベルな技術の攻防とか大技とかは要らないのです。

分かりやすさのみ。

アンパンマンのような世界なのです。

 

試合をしながら方向転換などは私たちには出来る術もなく、

ほぼ当初の予定通りの内容でイベントは進みました。

 

結果、大きな人(ヒールではない)が勝ったことでガッカリした子どももいたのでした。

そんな様子をYouTubeにアップしました。

あまりきれいな映像ではないですが、記録用にスタッフが撮った映像です。

 

https://www.youtube.com/watch?v=9DB7NKTvNoo

 

https://www.youtube.com/watch?v=FTblpypwjoo&t=31s

 

私たちはこの意外なことに戸惑いました。

それを想定出来なかったことも反省しました。

f:id:RINARE:20181215174638j:plain

体が大きな選手が勝っても喜んでくれない子どもたち

f:id:RINARE:20181215174744j:plain

逆に小さい選手が攻めると歓声があがる



 

とりあえず初回は普通にやってみて、様子を見たい。

まずは無事に興行を「達成」させたい。

そればっかりで、中身についてそこまで深く考えられませんでした。

 

手応えはありましたが、改善の余地は十二分にあったと思います。

 

同じく、初見の立場で取材をしてくれた、

「でいぜろバンコク」さんも後日取材内容をアップしてくれました。

こちらです。

https://www.youtube.com/watch?v=iRUV1pJl1C8

 

私は編集に一切口を出していません。

これもプロレス初見者の意見として、勉強になりました。

 

プロレスがタイで認知されていく為にはプロレスファンが喜ぶ内容と、

一般の人たちが喜ぶ内容に違いがある。

このテーマについて考察していかなければいけない。

 

それを身を以て目の当たりにした、という経験になりました。

f:id:RINARE:20181215174830j:plain

何はともあれ初めてのスラムプロレス終了後の記念撮影


 

翌月に第2回をやる話を財団と決めました。

2018721日(土)です。

少しずつ少しずつ子どもたちと仲良くなって交流を深めようと思った私たちでした。

 

しかし、決して物事は何でも順風満帆には進まないものです(意味深)

事件はもう少し先に起こります。

 

 

アジア初(たぶん)のスラムプロレス

タイで初、アジアでも初?

のスラムでのプロレスを控え、一般への事前告知はしない方針でしたので、プレスリリース等も当然出せません。

 

でも、この歴史的な出来事にメディアが1社も来ないというのはちょっと寂しい。

私も仕事柄メディアをどこも知らないという訳ではありません。

 

ただ、このイベントがうまくいくのか、という自信も正直ありません。

ある意味、Japan Expoやサワディカップよりも不安なイベントです。

 

観客となるスラムの子どもたちは、

プロレスを見たことがない

プロレスを知らない

バンコクでは最も治安的に問題がある場所でやる訳で、

何が起こるか分からないイベントとも言えます。

 

さすがに日本の大手放送局のバンコク支局に声をかける程の根性はありませんでした。

タイのメディアに声を掛けるほどの自信もなく、、、

そこで、前から気になっていたネットメディアにコンタクトしようと決めました。

 

「でいぜろバンコク」というYouTubeチャンネルです。

https://www.youtube.com/channel/UCIf6Be2vU1ZziTXEBoRczgg/featured

 

在タイ日本人の若い男性2人がやっているチャンネルで、

時々彼らの投稿ビデオを見ていて、彼らの目線に共感を持っていました。

 

自分も過去に何度かこういうネタやってみたい、と思っていたことをやっている、

というイメージがありました。

 

彼らの在タイ歴は、私が最初に大阪プロレスの興行をぶち上げて失敗させた時くらいのタイミングだったので、そのあたりも気になっていました。

 

単に会ってみたい、という気持ちもあったのですが、

サワディカップ実行委員でよしもと住みます芸人の「あっぱれコイズミ」氏が面識ある、

ということでしたので、セッティングしてもらいました。

 

ターミナル21のカフェで待ち合わせして初対面。

彼らが1番気にしたことは、自分たちがプロレスのことを何も知らない、ということでした。

ですが、私はむしろそれでいいと思いました。

 

グレート無茶さんの言葉を思い出したのでした。

 

「プロレスが好きな人だけでやる、プロレス村祭りではいけない」

 

タイでプロレスをメジャーにしたのなら、プロレスを知らない人に向けていかないと。

そういう意味では、なおさら「でいぜろバンコク」で良いじゃないかと。

 

「取材に必要な質問や許可などは全部こちらでやるけど、

 取材の内容や編集、構成には一切口出ししません。

 ただ1つだけお願いしたいこと。

 子どもたちのプロレスを見たリアクション

 これだけはリアルに撮っておいて欲しい!」

 

私の出した条件はこれだけで、当日の取材を快く引き受けてくれました。

 

当日は私の会社のスタッフは全員出動。

私の会社で通訳の仕事などを手伝ってくれている河野真紀さんも来てくれました。

前述のあっぱれコイズミ氏も。

 

とにかく初めての試みなので、何が起こってもおかしくない、

という気持ちがあり、不測の事態も考慮して万全の態勢で当日を臨みました。

 

f:id:RINARE:20181212141310j:plain

クロントイスラムに初めてプロレスのリングが立つ

f:id:RINARE:20181212141424j:plain

早朝からガトームーブのタイ人選手が設営してくれました

f:id:RINARE:20181212160343j:plain

リング完成!



 

クロントイのスラムでプロレス

 前回ブログでコピペした、タイのガトームーブの選手への手紙は、今までタイのプロレス発展に関わっていただいた方々にも日本語訳の文章を送り、承認いただきました。

 

 新崎人生さん、さくらえみさんはもちろんその中に入っています。

 

 タイ人選手からも「やりましょう!」「やりたい!」という声が返ってきました。

 

ということで、動くことになりました。

 

どういう方法でスラムでのプロレスを実施するか?

 

 タイの多くのスラム地区は財団が支えています。

 特にバンコク最大のスラムであるクロントイのスラムは多くの財団が支援しています。

 子どもの住まいを確保したり、学費を支援したり、

 財団そのものが作った学校もあり、有名なのはプラティープ財団というところが始めた11バーツ学校」というものです。

 

 つまり、スラムは財団が支えているわけで、財団が大きな力を持っているとも言えます。

 

 なので私たちはこのスラム内でも有名な財団にアポを取り、

 (前述のプラティープ財団ではありません)

 正直な気持ちをぶつけて意見を聞くことにしました。

 

 1回目は私と私の会社のスタッフで訪問し、

 2回目はガトームーブのタイの責任者のプミ君にも来てもらいました。

 

 今までの自分たちの活動の説明

 タイでプロレスがイマイチ浸透していない現状

 タイでプロレスの理解がまだなく、決して良いイメージではないので協賛もつきにくい、

 そこでイメージを変えたいので、このスラムで無料興行を子どもたちに向けて行い、子どもたちともコミュニケーションを取りながら盛り上げていき、子どもたちに夢を与えるようなイベントを定期的に実施したい。

 

 こんな感じでした。

 

 もちろん、ずっとクロントイスラムでやっていくつもりではなかったのですが、

バンコク市内の中心部から近い立地やスラムそのものの知名度や子どもの多さ、いろいろ考えるとしばらくはココで実施し、

メディアなどが取り上げてくれるのを待つ。

売名が出来た(苦笑)ところで、スポンサーもつくだろう。

そしたら、活動の場を広げて行こう。

そんな魂胆でした。

 

 まずは1ヶ月に1回のペースでやりたいと伝えたところ、財団は理解を示してくれました。

 晴れてスラムプロレスはスタートを切れることになります。

 

f:id:RINARE:20181211104355j:plain

プロレスを実施する場所の候補はたくさんあった(この写真はスラム内の学校施設)

 ガトームーブの選手にはノーギャラで来てもらうことになります。

 リングの輸送費、電気代、場所の管理者へのお礼代、選手やスタッフの食事や飲み物等々、、、これらは私の自腹となります。

 スポンサーが付けば、選手に交通費くらいは出せるようにしたいと。

もっと多くのスポンサーが付いて、自腹の経費が全て賄えるようになれば、選手には少しのギャラも払いたい、そんな気持ちでした。

 

 歴史的な第一回スラムプロレスは624日(日)に決まりました。

 

f:id:RINARE:20181211104523j:plain

最終的に会場はこの駐車場となった

 スラムへのアクセスが車しかなく、しかも駐車場がない

 あくまでもスラムの子どもたち向けのイベントである

 一般的なバンコクの街と比べ、決して治安の良い場所ではなく、ネガティブな事を言うと犯罪者や麻薬中毒者なども住んでいる。

f:id:RINARE:20181211104610j:plain

スラム内にある職業訓練


 

 などなど、本来の目的以外のトラブルや問題を起こしたくないので、

しばらくの間は一般の方々への事前告知はせず、スラム内だけでの告知イベントとしました。

 選手のみんなもその方がいつもと違うキャラを出しやすいとも思いました。

 

 不安もたくさんですが、ワクワクが勝つような日々。

 プミ君とも打合せを重ね、当日を目指しました。

 

 

 

ところで、読者の方々はなぜ今回の文章の中で、

協力してくれた財団の名称を書かないの?

とお思いの方もいらっしゃるかも知れませんね。

 

はい、あえて名前は出していません。

 

なぜなら、、、、

私たちの期待は裏切られるからです。

 

 

タイ人レスラーへの手紙全文(日本語訳)

もちろん実際にはタイ語で皆さんに送っています。

(私の会社、本業は通訳翻訳が専門ですので)

 

少し編集したい部分もありますが、あえてそのままコピペします。

 

ガトームーブ選手の皆様へ                

 

皆さんこんにちは。サワディカップを主催している、

リングオーナーのThainchu 吉本です。

今回、新しく考えた企画Thailand Pro-Wrestling Club の活動に協力をして下さる、ということで大変感謝しています。ありがとうございます。

 

この企画はタイで今よりももっとプロレスを多くの人に知ってもらう為の活動の1つです。

孤児院や障害者の施設、老人の施設等にリングを作ってプロレスを楽しんでもらおうというボランティアの企画です。

「社会を明るくする活動」

「子どもたちに夢を」

という活動です。

 

普段プロレスを見るチャンスがない人たちに無料でプロレスを見せて元気になってもらう、夢を持ってもらいたいと考えています。

日本の長野県にある小さなプロレス団体「信州プロレス」がこの活動を成功させています。

彼らはこのボランティア活動を続けて、様々なメディアに取り上げてもらい、長野県の中ではとても有名になりました。

そして今、信州プロレスには多くのスポンサーが付いています。

私はこの信州プロレスのやり方から勉強して、彼らのような成功を目指したいと思っています。

 

最初はクロントイのスラムでスタートさせようと思っています。

ここで何度か経験を積んだら、他の場所でもショーをして、スポンサーが付けば、タイ全国で活動出来ればいいなと思っています。

 

今までの私たちのタイでのプロレス活動は、もともとプロレスが好きな人やプロレスに興味にある人たちに喜んでいただいたり、協力をしてもらっていました。

でも、タイでプロレスを広めていく為には、プロレスを知らない人、プロレスに興味がない人に知ってもらうことをしなければなりません。

テレビ番組で私たちのプロレスが放送されれば早いですが、今の状態ではタイのテレビで放送するとかは簡単に出来ない、ということは皆さんもご存知ですね。

 

今回の企画は、子どもたちに楽しんでもらうと同時に、私たちの活動をメディアに紹介されたりすることで、プロレスに興味のなかった人に知ってもらったり、興味を持ってもらったりするチャンスになります。そして、私たちに協力してくれる人たちが増えていく可能性もあります。

 

自分たちでストーリーが作ることが出来るプロレスは、他のスポーツや音楽や演劇とも違う方法で人々に夢を与えることが出来ると思います。これは皆さんがプロレスを好きになったのと同じです。

 

このように今回考えている活動の目的は2つの段階になっています。

子供たちに夢を与える目的

プロレスをより多くの人たちに知ってもらう目的

です。

 

しかし、私には1つ気になっていることがあります。

皆さんに参加してもらえることはとても嬉しいしありがたいことだと思っています。

ですが、皆さん1人1人にも夢はありますね。

「こんなプロレスをしたい」

「こんなプロレスラーになりたい」

WWEのリングに上がりたい、New Japanのリングに上がりたい」

いろんな気持ちを持ってプロレスをされていると思います。

 

ですがこの活動でやっていただくことは、皆さんが理想にしているプロレスのスタイルとは違うことをしなければいけないこともあると思います。

シリアスなプロレスではなく、分かりやすいストーリーだったり、面白いプロレスだったり、子どもが喜ぶようなプロレスを見せることが必要です。

皆さんのポリシーと違うことをしてもらうことが必要になると思います。

もちろん、これも簡単なことではありません。

いつもと違うことをすることも難しいことです。

 

どうか、このことを我慢して欲しいですし、この経験も皆さんにとって良い経験になると思っていただけるとありがたいです。

だから、この活動では皆さんは、いつもと違うキャラクターになってもらって構いません。

いつもと違う名前でもいいし、マスクをかぶってくれてもいいし、動き方とかも変えてもらっても構いません。

 

この企画の目的は、先ほども書いた通り、子どもたちに夢を与えることとプロレスをもっと知ってもらうことです。

でも、皆さんには皆さんの夢がある、目標がある。

そのことを私は忘れないですし、皆さんも忘れないで欲しいです。

 

この企画、最初は何もないところからスタートします。

かかる費用は私が出すことになります。

でもそのうちに、協力してくれるスポンサーが付いたりして、活動する費用はスポンサーが出してくれるかも知れません。

子供たちを喜ばせるようなプレゼントを提供してくれるスポンサーも出てくるかも知れません。

そうなった時は皆さんにも交通費や食事代などを渡せるようにしたいです。

その日はそんな遠い日じゃないようにしたいと思っています。

 

私もこの活動は初めてやることで経験は全然ありません。

皆さんと同じです。

最初はいろいろとうまくいかないこともあると思います。

 

ですが、皆さんと一緒に歩いて行けたら嬉しいです。

そして、最後にこの企画は「安全第一」「台本重視」です。

ケガや事故がないようにくれぐれもお願いしたいです。

 

長い文章ですみませんでした。

どうかよろしくお願いします!

吉本昭雄

 

f:id:RINARE:20181209130206j:plain

数ヶ月後、この場所でスラムプロレスが開催されることに

 

 

 

 

パクリ宣言

私が初対面の方に自分とプロレスとの関わりについて説明をした時、

初対面にも関わらず私に対して「バカな人」と言ってくれた2人目の人が、

グレート☆無茶さんでした(笑)

ちなみに1人目はサワディカップ実行委員会の小野さんです 笑

 

自分でもアホなことをやっていることを理解してやっていることですので、

むしろはっきりとそう言われることの方がスッキリします。

もちろん悪意ではなく、一種の(?)褒め言葉で言ってくれていると理解。

 

一通り無茶さんのお話を聞いた私の頭には、子どもの頃大好きだったアニメ

タイガーマスク」の伊達直人が登場していました。

 

社会の中のプロレス。

孤児院の子ども達の為にプロレスをする伊達直人ことタイガーマスク

タイにはあの孤児院のようなイメージの場所がある。

そこでリアルな活動が出来るかも知れない。

 

無茶さんのお話を聞いているその最中でしたが、もう私にはイメージがありました。

 

「ありがとうございます。で、私、パクってもいいですか?

 もうイメージがあります。

 長野県よりもむしろタイの方が貧困などで苦しむ人は多い、

 っていうのはお分かりだと思いますが、、、」

 

「もちろんいいですよ、このやり方はパクられても誰も損はしないですから」

 

ホントにその通り。

誰も損をしないプロジェクトを教えてもらいました。

 

「私自身はただのリングオーナーでレスラーではありません。

なのでタイに持ち帰ってみんなの意見を聞きたいと思います!」

 

そう言って、無茶さんにお礼を伝え、

その日行われた信州プロレスさんの定期戦の試合を観戦した後、

再度お礼を伝え、また近いうちにお会いしましょう!

とお別れしました。

 

ちなみにですが、、、

長野県の為に活動している信州プロレスさんが、タイに来て、

タイ人に長野県の宣伝をする為に試合をする、ということはアリですよね?

という話はもちろんしています。

その時は私の本業と趣味の100%コラボの時になります宣言もしました 笑

 

 

で、

この時描いていた私の真意をはっきりさせておきましょう。

 

売名行為と言うのならそれで構いません。

「これからは売名行為だーっ!」

と公言したって構わない。

 

1)タイでボランティア活動的なプロレスをはじめる。

 

2)それがタイのメディアで取り上げられる。

 

3)スポンサーが付く。

 

4)ボランティアプロレスの資金が調達出来る。

 

5)サワディカップのスポンサーが獲得出来る。

 

6)タイでプロレスの知名度が上がり、タイにプロレスが根付く!

 

というのがおおまかなストーリーです。

 

ニュースメディアに取り上げてもらうこと。

しかも日本のメディアではなく、タイ国内のメディアに。

もちろん日本のメディアが最初に伝え、そこからタイのメディアに行く形でも構わない。

 

細かい手法はこれから考えるとして、このストーリーで行こう!

いや、自分がやるんじゃないから、このストーリーで行きたい!

 

「スラムでプロレスをやろう!!」

 

信州プロレスさんを訪問して出た1つの答えがこれです。

 

タイ最大のスラムと言われる「クロントイスラム」でプロレスの無料興行。

f:id:RINARE:20181208110315j:plain

クロントイスラムのイメージとしてよく使われる場所

 

グレート☆無茶さんとお別れしても興奮が収まらない私は、

信州プロレスの道場の横にあるバッティングセンターに入り、

なぜかバットを振りながらイメージを勝手に膨らませていくのでした。

 

なんだか1つの難しい方程式を解いたような、

ドラマガリレオを湯川学的な気分でした。

(誰が福山雅治やねん!)

 

「タイに戻ったら相談したいことがある」

サワディカップの実行委員の小野さんとあっぱれコイズミさん、

そして我闘雲舞のタイの責任者であるプミ君にもメッセージを送りました。

 

グレート☆無茶さんをご紹介してくれた、新崎人生さんにもお礼と報告と、

自分の考えを伝えました。

 

しかしこのプロジェクトを始めるには、それだけではダメです。

ウチの会社の社員全員にも伝えなければなりません。

このプロジェクトはウチの会社のスタッフ達の力も必要です。

 

バンコクに戻り、私は順番に自分の想いを伝えていきました。

 

だけど、1番肝心なのはプロレスをやる人です。

我闘雲舞のタイ人選手たちが私の想いを理解してくれるかどうか?

これが最も大切なことです。

 

私の頼みだから、とお付き合いでやらされているようなことでは意味がありません。

彼らも心から私と同じ気持ちでやってくれることが最も大事です。

 

私は彼らに手紙を書くことにしました。

f:id:RINARE:20181208110429j:plain

クロントイスラムのイメージその2

 

社会の中のプロレス

前回のつづき、種明かしみたいになってすいません。

 

信州プロレスさんのウェブサイトを見ていただければ、

他のプロレス団体にはない言葉がトップページに飛び交っていることが分かります。

 

「長野を元気に!」

「すべての子ども達に笑顔を!」

「安全第一 台本重視 入場無料 雨天検討」

 

そしてたくさんのスポンサー企業のバナー

 

信州★総タイガーマスク化計画

という文字

 

f:id:RINARE:20181205090908j:plain

10年の試行錯誤の中から生まれた「信州★総タイガーマスク化計画」のポスター

つまり、プロレスによる社会貢献

社会の中のプロレス

ということか。

 

一見すれば、安全第一や台本重視という言葉は、笑わせるための言葉たちにも見えます。

 

だが無茶さんと話をしていくうちに、↑の言葉たちの裏に隠されたビジネスモデルがある、

ということを感じたのでした。

 

多くのスポンサーを得る為の手段

という意味でこれらの言葉を吟味してみると全てが正しいと分かる。

 

これらの文字は私たちが今までスポンサーを得られなかった要因を払拭してしまうからです。

 

プロレス=危険 暴力 いじめを誘発

 

未だにこんなことを言う人が一般社会ではたくさん存在します。

しかし、、、

安全第一 台本重視

という言葉で言い返すことが出来る。

しかも社会を明るくする運動としてのプロレス。

 

スポンサーの候補となる企業の中にはプロレスに理解がある、

いわゆるプロレスファンの人もいます。

そんな方が自分の会社をプロレスのスポンサーにしたい、と思い、

同僚や上司に説明、説得をする際に反対意見として必ず言われるのが、

暴力やいじめ、危険

という言葉です。

そんな反対意見を封印させてしまう文言が、このウェブサイトにはあります。

 

信州プロレスは、老人施設や障がい者施設や孤児院などに行き、

積極的に無料で興行をしてきたそうです。

そして基本的に興行はすべて無料で実施されています。

f:id:RINARE:20181205091138j:plain

無茶さんとの話の後に観戦させていただいた定期戦

年に何度か数千人クラスの大きな会場を借りて行う興行も無料です。

ゲストレスラーに長州力さんや藤波辰爾さんが来ても無料です。

 

自分が唯一直接聞くことが出来る、レジェンドレスラーの新崎人生さんに、

「なぜ信州プロレスに出たのか?」

と聞いてみました。

 

超有名レスラーが名もない(失礼)小さな団体のリングに上がる。

プライドやいろんな事情もあるように思ってしまいます。

新崎人生さんの答えは明確でした。

「すごく良い待遇でオファーしてくれたんだよ」

長野に着いてからもしっかりケアをしてくれるし、気持ち良く試合に臨めた

ということでした。

社会を明るくするための無料興行、

ということも彼らを参戦させる要因の1つでしょう。

 

やる人、見る人、協賛する人、みんながハッピーな優しい世界?!

 

無料で興行することによってより公益性を出せる。

ということでしょうか。

これによりさらにスポンサーは協力しやすくなるわけです。

さらに!

メディアも取材しやすくなるのです。

これが有料興行であればメディアが来るハードルは上がってしまいますが、

無料でやることによってメディアは取り上げやすいネタになるのです。

 

「長野のために!」

という言葉が入ること。

これで長野県内のローカル企業やローカルメディアは応援したい気持ちになります。

無茶さんは、長野県のローカルテレビやケーブルテレビ、ラジオなどに頻繁に出たりする、

ローカルタレントでもあります。

県庁に出入りして知事とお話されることもよくあるようです。

 

もはやこちらからお願いしなくても、企業側から協力したい!

とスポンサーを希望するところが出てくるのも理解出来ます。

 

「プロレスの本道からは外れるかも知れないですが、最初の目的である、

プロレスの認知度を上げる、という意味では効果はあると思います」

 

私が知っている日本のプロレス団体の場合は、

選手は営業し、チケットを自分で売ってお客さんをいっぱいにして興行を成功させる。

というスタイルです。

新日本プロレスさん以外のほとんどの団体が、この方法ではないでしょうか。

 

ですが、信州プロレスの場合は切符を売るという行為がないので、

それらの活動が全てありません。

ともすれば、既存団体のやり方を否定し兼ねないやり方かも知れません。

ですが、無茶さん曰く

「私たちにはこの方法しかなかったんです」

ということでした。

 

地方の団体で、有名選手もいない中でプロレスを続ける方法。

10年以上続けて来られたグレート☆無茶さんの信念を感じました。

 

さぁ、この話を聞いた私。

ひるがえって、私たちタイのプロレスを考えてみましょう。