リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

社会の中のプロレス

前回のつづき、種明かしみたいになってすいません。

 

信州プロレスさんのウェブサイトを見ていただければ、

他のプロレス団体にはない言葉がトップページに飛び交っていることが分かります。

 

「長野を元気に!」

「すべての子ども達に笑顔を!」

「安全第一 台本重視 入場無料 雨天検討」

 

そしてたくさんのスポンサー企業のバナー

 

信州★総タイガーマスク化計画

という文字

 

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10年の試行錯誤の中から生まれた「信州★総タイガーマスク化計画」のポスター

つまり、プロレスによる社会貢献

社会の中のプロレス

ということか。

 

一見すれば、安全第一や台本重視という言葉は、笑わせるための言葉たちにも見えます。

 

だが無茶さんと話をしていくうちに、↑の言葉たちの裏に隠されたビジネスモデルがある、

ということを感じたのでした。

 

多くのスポンサーを得る為の手段

という意味でこれらの言葉を吟味してみると全てが正しいと分かる。

 

これらの文字は私たちが今までスポンサーを得られなかった要因を払拭してしまうからです。

 

プロレス=危険 暴力 いじめを誘発

 

未だにこんなことを言う人が一般社会ではたくさん存在します。

しかし、、、

安全第一 台本重視

という言葉で言い返すことが出来る。

しかも社会を明るくする運動としてのプロレス。

 

スポンサーの候補となる企業の中にはプロレスに理解がある、

いわゆるプロレスファンの人もいます。

そんな方が自分の会社をプロレスのスポンサーにしたい、と思い、

同僚や上司に説明、説得をする際に反対意見として必ず言われるのが、

暴力やいじめ、危険

という言葉です。

そんな反対意見を封印させてしまう文言が、このウェブサイトにはあります。

 

信州プロレスは、老人施設や障がい者施設や孤児院などに行き、

積極的に無料で興行をしてきたそうです。

そして基本的に興行はすべて無料で実施されています。

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無茶さんとの話の後に観戦させていただいた定期戦

年に何度か数千人クラスの大きな会場を借りて行う興行も無料です。

ゲストレスラーに長州力さんや藤波辰爾さんが来ても無料です。

 

自分が唯一直接聞くことが出来る、レジェンドレスラーの新崎人生さんに、

「なぜ信州プロレスに出たのか?」

と聞いてみました。

 

超有名レスラーが名もない(失礼)小さな団体のリングに上がる。

プライドやいろんな事情もあるように思ってしまいます。

新崎人生さんの答えは明確でした。

「すごく良い待遇でオファーしてくれたんだよ」

長野に着いてからもしっかりケアをしてくれるし、気持ち良く試合に臨めた

ということでした。

社会を明るくするための無料興行、

ということも彼らを参戦させる要因の1つでしょう。

 

やる人、見る人、協賛する人、みんながハッピーな優しい世界?!

 

無料で興行することによってより公益性を出せる。

ということでしょうか。

これによりさらにスポンサーは協力しやすくなるわけです。

さらに!

メディアも取材しやすくなるのです。

これが有料興行であればメディアが来るハードルは上がってしまいますが、

無料でやることによってメディアは取り上げやすいネタになるのです。

 

「長野のために!」

という言葉が入ること。

これで長野県内のローカル企業やローカルメディアは応援したい気持ちになります。

無茶さんは、長野県のローカルテレビやケーブルテレビ、ラジオなどに頻繁に出たりする、

ローカルタレントでもあります。

県庁に出入りして知事とお話されることもよくあるようです。

 

もはやこちらからお願いしなくても、企業側から協力したい!

とスポンサーを希望するところが出てくるのも理解出来ます。

 

「プロレスの本道からは外れるかも知れないですが、最初の目的である、

プロレスの認知度を上げる、という意味では効果はあると思います」

 

私が知っている日本のプロレス団体の場合は、

選手は営業し、チケットを自分で売ってお客さんをいっぱいにして興行を成功させる。

というスタイルです。

新日本プロレスさん以外のほとんどの団体が、この方法ではないでしょうか。

 

ですが、信州プロレスの場合は切符を売るという行為がないので、

それらの活動が全てありません。

ともすれば、既存団体のやり方を否定し兼ねないやり方かも知れません。

ですが、無茶さん曰く

「私たちにはこの方法しかなかったんです」

ということでした。

 

地方の団体で、有名選手もいない中でプロレスを続ける方法。

10年以上続けて来られたグレート☆無茶さんの信念を感じました。

 

さぁ、この話を聞いた私。

ひるがえって、私たちタイのプロレスを考えてみましょう。