リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

リングを買う決め手になった友人のなにげない言葉

(この原稿は2015年11月頃にフリーペーパーdacoのウェブサイトに掲載された

「タイでプロレス興行を目指す男の記録 第5回 の再掲載です)

 

「吉本さんがあの安い車のままでまだ頑張るんだったら、私も君の夢にタダ乗りさせてもらうよ」

 

在タイの先輩から出たカッコいい協力表明に胸が震えた私でした。

 

「リングを輸入しよう!」

という決意に至る前、ダメ押ししてくれた人が何人かいました。

 

1人目は、タイでカリスマ的な存在になっている男優の「レイマクドナルド」氏。

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(レイマクドナルド氏 写真は広島ローカルのテレビ番組に出演した時のもの)

 

彼は私が初めて日本へ連れて行ったタイのテレビ番組のMCで、

もうかれこれ12年近い仲になる。

イケメン俳優とずんぐりむっくりコーディネーターのコンビで、日本へ一緒にロケに行った回数は10回を超えています。

そんな彼が数年前に語っていた夢、それは

トゥクトゥクに乗ってガチで世界一周をする番組を作る」

というものでした。

 

彼のガチさをよく知っている私は

「よっしゃ、それなら日本編は俺にコーディネート任せろ!」

と返事をしていました。

そんな彼が今年1月、広島でのロケ中、嬉しそうに写真を見せながら

トゥクトゥク買っちゃったよー」

と言うのでした。

 

「おおお!番組の枠、決まったのか!どこの放送局?」

と聞いた私に対し、

「ううん、まだ何も決まっていないけど、とりあえずトゥクトゥクの新車買った。自分のやりたいことだから」

 

彼は私のプロレスリベンジの話など知らないが、この言葉はグサッと私の心に刺さったのでした。

 

(そうだよな……

 

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(旅館の狭い部屋で一緒に寝た夜、夢を語り合った)

 

その後、彼は順調に放送局も放送枠も獲得し、現在「TT Rider」という番組でインドシナ編が放送されています。

レイの何気ない言葉が迷っている私へのダメ押しになりました。

(同時にこの番組の日本ロケの企画を手伝うという責務も

 

ほかにもリング購入にあたり懸念していたこと。それはリングの保管先。

 

私の会社にはリングを保管出来るようなスペースは当然ながらありません。

タイ国内でイベントを実施する際、いつもお世話になっているフライングエレファント社の杉田社長に甘えてみようかと思い、いきさつから全てを説明しました。

杉田さんは私よりも在タイ歴も人生経験も長い大先輩です。

自社で大きな倉庫をお持ちです。

 

杉田さんからは、20年前に会社を立ち上げた時、最初の大きな興行で大変な赤字を出してしまい、その借金の返済に6年もかかり、今でもその頃の夢を見て寝汗をかくという恐ろしい話を聞かされた後、

 

「吉本さん、じゃあ、君はあの安い車をまだ買い替えないで、新車の代わりにプロレスのリングを買うってことね?」

 

「はい、そういうことになりますね」

 

「じゃあ、私もその夢にタダ乗りさせてもらうよ」

「え?」

 

「場所だけはいっぱいあるからウチの倉庫は好きに使って下さい、リングが通関したら送り先はウチの倉庫にしておいていいよ。リングを設営する時もウチのスタッフを使ってくれていいよ」

 

まさかの名言を吐かれてしまいました。

これで、リング購入が不可、という逃げ道がなくなった私でした。