リングがあればなんでも出来る

タイでプロレスを普及させようと頑張った素人の話です

全然ダメだとしても全然いいんです!

(この原稿は2015年9月頃にフリーペーパーdacoのウェブサイトに掲載された

「タイでプロレス興行を目指す男の記録 第3回 の再掲載です)

 

「全然ダメだとしても彼らは全然いいんです!」

 

それまで常に落ち着いた表情で話して下さっていた新崎人生さんが、

初めて私に対して感情的に話した瞬間でした。

 

「プロレスファンよりもプロレスラーの方がプロレスを愛している」

 

当たり前のことかも知れません、

目の前でそれを感じた私は今でも思い出すだけで鳥肌がたちます。

 

新崎人生さんとの出会いは、私が大阪プロレスの興行を諦めて数年以内のことだったと記憶しています。

タイで活躍する俳優で現在も「Sugoi! Japan」などのレギュラー番組を持つ友人の佐野ヒロ氏の番組「Wabisabi」の仙台での取材をコーディネーターとして参加させていただいた際、

仙台市役所の方と佐野ヒロ氏にたった1つだけ私から強くリクエストしたことが「仙台女子プロレス」の取材でした。

 

当時、仙台女子プロレスの社長をされていたのが新崎人生さんでした。

 

取材時に自分が大阪プロレスの興行を失敗させた経験がある話などもしましたが、とにかく新崎さんの人柄と誠実さに私も佐野ヒロ氏も感銘を受けた印象が残っていました。

 

10年前の大阪プロレスの方々はほぼ誰も大阪に残っておられない現在の状況もあり、

私のリベンジは新崎人生さんの所属されている「みちのくプロレス」にしたい、と決め、佐野ヒロ氏の許可も得た上で新崎さんと仙台でお会いしたのでした。

 

改めて10年前から今に至る話を新崎人生さんにご説明しました。

想像以上に私の考えを受け入れて下さり、

タイで興行をする場合は喜んでご協力します、ときっぱりと言って下さいました。

 

そんな話をした後、タイにもタイ人が運営しているプロレス団体がある、という話題にしてから新崎人生さんの目つきが変わったのでした。

 

タイには「我闘雲舞」(ガトームーブ)というプロレス団体があります。

3年前、女子プロレスラーの「さくらえみ」さんが立ち上げた団体で、

現在はタイ人レスラーだけでタイ国内で興行をしています。

もちろんリングはなく、体操マットを使って、50人から100人くらいの観客数で決してハイレベルとは言えないですが「プロレス」をやっています。

設立者のさくらえみさんも彼らの師匠として、今でも時々来タイされ、指導されたり試合に出られたりしています。

 

新崎人生さんと会う直前に一度だけその興行を見に行きました。

その時に撮った写真の数々を見せながら説明をした時、明らかに新崎さんの目の色が変わるのを感じたのでした。

彼らも一緒にやろうよ! というのが新崎人生さんの提案でした。

 

(写真は2015年当時のバンコクでのガトームーブの興行)

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