リングがある道場(第3章最終回)
(この原稿は2017年3月頃にフリーペーパーdacoウェブサイトに掲載された「タイでプロレス興行を目指す男の記録」 第27回 の再掲載です)
プロレス観戦を頻繁にしている方やファン歴が長い方であれば、感じてしまうかも知れません。
アジアの選手の技量がまだまだ未熟であるということ。
プロレスが出来ない私のような素人がそんなことを言うのは失礼であることは百も承知です。
でも確かにそれは否めないと思います。
彼らは週に3回の練習を行っていますし、一人前のプロレスラーになる為の努力はしています。
だけど試合を見るとそう感じさせてしまう。
それは普段からリングの上で練習が出来ていない、これも大きな要因の1つである、これは間違いないと思います。
彼らに必要なものは、リングが常設されている道場です。
残念ながら、私の能力と財力でリング常設の道場を持つことは叶いません。
アジアのプロレスのレベルアップはプロレスを根付かせていく為に不可欠です。彼らが真のプロレスラーとして、日本や世界のリングに上がっていく為には常設のリングとトレーナーが必要になります。
これがズバリ次の展開です。
私はトレーナーとしてプロレスを教えることは当然出来ません。
道場を持つことも出来ません。
つまり、次の展開になる時、もう私はキーパーソンではないのです。
そしてそうするしか次には進めないのです。
1つ前の連載での新崎人生さんの突き放すような言葉にはこの次の展開が人生さんには見えていたからの言葉だったのです。
「今までいろいろ吉本さんにあーだこーだ言ってきたんだけれど、所詮はタイに住んでいる訳でもない僕たちがいろいろ言っても無責任だったと思うし、そこはいろいろとプレッシャーをかけて申し訳なかったと思っています。だから吉本さんとはこれからも友人として付き合っていきますが、もうこれからはタイのプロレスについては何も言わないですよ」
新崎人生さんの言葉の真意はそういうことでした。
もちろん私は彼の言葉は100%理解した上で、
「この1年でタイのプロレスも私自身もプロレスを勉強させていただいて、ここまでこれたのは、新崎さんとみちのくプロレスさんのおかげです。お世辞は一切抜きでみちのくプロレスは最高の団体だと思っています。だから私が突然みちのくプロレスさん以外の団体に声をかけて、なんてあり得ないですから、これからも一緒に出来ることは是非お願いしたいです。だけど僕自身がタイのプロレスの物語の中心ではなくなっていく中で、みちのくプロレス以外の団体がタイで興行していくことはあると思います。私はただのリングオーナー、ただのファンとして、しっかり見届けたいですし、みちのくプロレスの皆さんからも引き続きご指導はいただきたいと思っています」
そんなことを伝えました。
一昨年の夏から始まった私とプロレスの物語は、今回のジャパンエキスポで一旦区切りを付けるつもりです。シーズン1の終了です。
シーズン2は違う主役が登場し、私は脇役として少しだけ登場出来れば嬉しいです。
2月12日、2日目の興行が終わってから、私はさくらえみさんや里歩さん、中澤マイケルさん、高梨将弘さん、DJニラさん、つまり、みちのくプロレス以外で参戦して下さった人たちと食事をしました。
その席で、「私が主役だったシーズン1は終わりにしましょう」みたいな話をした後、「じゃあ吉本さんは最終的にどんな役になりたいんですか?」という話題になりました。この質問の答え、実は考えてあったのです。
「僕は、将軍KYワカマツになりたいんです!」
古いプロレスファンの方しか分からないと思います(笑)説明すると長くなるので、分からない方は是非ググってみて下さい。
私は拡声器を持って、ヒール軍団を率いるマネージャーになりたい。拡声器を使って、日本語とタイ語の通訳もしながら、、、通訳しながら暴れる悪役マネージャー。
いつか私がそんな役に専念出来るようなタイのプロレス業界を夢見ています。
もしこの夢が実現した時、読者の方にお願いです。
二代目ワカマツが登場した時に「よしもとー!」などと正体をバラす声援はどうかお控え下さい 笑
連載はまた復活すると思います。ダコさんに嫌われさえしなければの話ですが、、、、
近いうちにまたココでお会い出来れば光栄です。